どたばたファンタジーリレー小説6

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「ベインさん、お客さんですよ」

「おぅ、トリアさんかい。 それはご苦労様! ついでだからそこの野菜持って帰りなよ」
「あら、いつもすまないねぇ。それじゃお客様、あたしはこれで失礼しますね」

庭先で籠を編んでいた手を止め、ベインと呼ばれた男性は客人を迎えに出る。

「……なんだ爺さんか。何年ぶりだ? まだ生きていたとはな。まあ入りなよ」

「ふん、久しく会ってなかった恩人に対しての挨拶がそれとは、お前も老けた以外は変わっていないようじゃの」

誘われるままに家に入りつつ、憎まれ口を返す老人。お互い知らない仲ではないらしい。

「そういえば爺さん、伴の者も連れずにこんなところをほっつき歩いてていいのかい?」
「いや、連れてきてはいるんじゃが……今は人を追っていての」
「人? まさか…あの件か?」

ベインの表情が厳しくなる。

「いや…ここに来たのはその件なんじゃが、追っているのはうちの跳ねっ返りでの……そのうちとっ捕まえてここに連れてくるじゃろう」
「そうか…で、本題の方は?」

「実はな、この村に【グリーダナム】が向かっているという情報が隠密より入っての…」

「…………」

「偶然この村に向かっているだけなら良いのじゃが、在りし日の「英雄」の存在を嗅ぎ付けた可能性もあるのでな、ワシ自らが結界の確認に来たわけじゃよ。」

「【グリーダナム】ねえ……あいつらはいまだに「英雄」の幻想に取りつかれているのか。」

「在りし日の英雄達に用があるか、それとも英雄の一人が持つ【鍵】に用があるのか、それはわからんがの。」

やや自嘲気味に英雄を強調する二人。

「それで、奴らはもうこの村に?」
「ああ、巧妙に隠してはあったが、結界に干渉した痕跡を見つけた。おそらくお前さんの【鍵】の在処を調べたんじゃろうよ」

「そうか……聞いてくれ爺さん、実はな、俺はもう【鍵】の所有者じゃないんだ。今は息子のルートが持ってる。【鍵】が自らルートを選んだんだ」

「……! 【鍵】が選んだじゃと……!」

「あぁ、ルートが【認められし者】になった。【グリーダナム】が【鍵】を狙っても、ルートが認めない限りは使うことはできない」

「そうか……それなら安心じゃの……いや、待て。ベイン、お前の息子、ルートと言ったか?」
「ああ、母親似の可愛い息子だぞ。今日は森にいるはずだ。」

「……これは不覚……」

「どうした爺さん、【認められし者】に危害を加える事が出来ないことぐらい【グリーダナム】も分かっている筈だろ?」

「いや、それがの、最初に話した伴の者が追っているうちの姫の話に戻るんじゃがの……ここまで案内してくれた村人によると、姫と一緒に逃げ出した子供がルートという名だったんじゃよ」


「「…………」」

黙り込む二人。

 

「宰相殿!報告致します! 姫が、【式】を用いて転移しました! ラーナ殿および【鍵】を持つ子供も一緒の模様です!」

 

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コメント(1)

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おぉ!こうきたか!!

さぁ、姫様続きにするか宰相殿側の続きにするか;
ぐぬぬ…

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この記事について

このページは、mochi2011年10月31日 20:44に書いた記事です。

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