どたばたファンタジーリレー小説4

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「説明は村に向かいながらにしよう。ディアナ」

「はいはい。ルート君、ちょっと急ぐからしっかり掴まっててね」

そういうや否や抱きかかえられディアナの腕の中に納まるルート。ラーナもいつの間にか彼女の肩に移動している。
そしてそのまままっすぐ村の方角に、道のない茂みに向かって飛び込んだ。

 

獣のような速度で茂みをかき分け枝をかわし幹をすり抜けるディアナ。あまりの速さに少年は息を飲む。

「心配はいらない、ディアナはこう見えても俊敏なのだ。木にぶつかるような馬鹿な真似は滅多にしない」
「こう見えてもは余計だよ!それよりルート君にグリーダナムの説明を」
「了解した。ルート、さっき私達が仕事でここに来たことは話したな。」

後半は否定しないディアナに一抹の不安を抱えつつルートは答える。

「うん、ねこさんは一人でお留守番してたんだよね。」

「……このままねこさんと呼び続けるのなら続きは説明しない。」
「ラーナ!そんなことでへそを曲げるな!」

「……続けよう。我々がカルムの村に向かっていたのは、村にある【鍵】を引き取るためなのだ。
 我々の主…依頼主は、過去にこの地で【鍵】を預け、その存在を秘匿し続けてきた。」

「じゃあ、その【グリーダナム】は、ねこさ…ラーナさん達より先に【鍵】を取りに来た人なの?」

「ラーナでいい…概ねその通りだ」
「あら、賢い子はお姉さん好きよ!」

軽い調子で話しながらも衰えないディアナの速度にようやく慣れた頃、既に一行は村の近くまでたどり着き、ひとまず茂みに身を隠すこととなった。

「それで、だ。ルート、君に頼みがある。」

「あのね、私達、【グリーダナム】には出来るだけ会いたくないのよ。でも【鍵】は先に手に入れなくてはならないの。
 穏便に事を進めるには、村の人の協力が必要なんだけれど……」

ここまで聞けばルートも自分に何が求められているか察しが付く。
「じゃあボクがその【鍵】を持って来ればいいんだね! でも【鍵】がどんなものなのか知らないよ?」

「ああん、ルート君ってばなんてお利口さんなの!小さい子に乱暴をするような相手じゃないから大丈夫だと思うけど、もし危険だと思ったら無理はしないでね!」

ルートを抱きしめる作業に取り掛かったディアナから、ラーナが説明を引き継ぐ。
「【鍵】とは呼ばれているが、その形状は半月状の小さな板で、首飾りに加工してあるそうだ。
 依頼主が【鍵】を預けた人物の名は『ベイン』という男性で、村の外れの小さな家に住んでいるらしい。
 【グリーダナム】は、【鍵】の持ち主をまだ知らないはずだから………」


「あのね…ねこさん、おねえさん」


ルートは抱きしめられたまま、ラーナの説明を遮った。
「あのね……ボクの父様の名前、ベインって言うの。それでね……」

ディアナに開放してもらい、胸元をまさぐる。
「父様がね、ボクが森に出てもいい歳になった証にってくれたの。大事なものだからなくさないようにって。」

その手には、半月状の装飾を施された首飾り。

「まさか……これが……」

「あんたたち、そこで何をしてるんだい? おや、そこにいるのはルートかい?」
唐突に声をかけられる。

そこには村の女性と、見慣れぬ老人、そしてその付添と思われる数人の若者。
「丁度よかった、こちらのお客さんがベインさんに用があるらしくてさ、先に声をかけてきてくれるかい?」

陽気に話しかける女性と対照的に、老人はディアナを驚きの表情で見つめている。


「ひっ、姫様!」


「あちゃー、見つかっちゃった……ラーナ。」
「……うむ。」

ルートの頭にラーナが飛び乗り、ディアナがルート諸共抱え上げる。


『逃げろ!!』


事態が分からないまま肩に担がれる状態になったルートは混乱する頭で考える。

(姫様…?)


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コメント(1)

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姫様?!
ディアナ姫!!

そして、続かれた!ええぃ頑張って考えるぜ;

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この記事について

このページは、mochi2011年9月 5日 20:52に書いた記事です。

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